連載小説 – プレトとルリスの冒険

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【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第31話・再び虹に向かって」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第31話・再び虹に向かって」by RAPT×TOPAZ

頭を少し動かすと、ルリスがいた。両手を組んだまま寝ている。まさか、ほとんど徹夜で祈ってくれていたのだろうか? ここまでしてくれるなんて……胸が心地よく苦しい。この感情はなんと呼べばいいのだろう。プレトはテントの開口部から顔を出してみた。空は...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第30話・泉の源へ」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第30話・泉の源へ」by RAPT×TOPAZ

目を開けると、アジサイ色に染まった空が見えた。磨りガラスのような月が浮かんでいる。なんて幻想的なのだろう。そうか、とうとう死んでしまったか……短い人生だったな……最後の数日間が濃密すぎたな……でも、ここはどこだ?落ち着いて辺りを見回すと、野...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第29話・マッチポンプ」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第29話・マッチポンプ」by RAPT×TOPAZ

プレトは吐き気に襲われた。テントのファスナーを開けて、頭だけ外に出す。すると、口から液体が出てきた。昨夜から何も食べていないので、胃液に違いない。口の中が苦くて酸っぱい。最悪だ。ルリスがそれに気づいて悲鳴のような声を上げると、こちらに駆けつ...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第28話・キリンパンの正体」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第28話・キリンパンの正体」by RAPT×TOPAZ

タンザロアニシン……そうだ、思い出した。子供の頃に読んだ、マンガのキャラクターに名前が似ているのだ。そんなことを……思い出したところでね……草が柔らかく踏まれる音がした。スニーカーを履いた友が近づいてくる。ルリスがテントの開口部のそばにしゃ...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第27話・新たな依頼」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第27話・新たな依頼」by RAPT×TOPAZ

プレトは、フーイのカラーレンズに度が入っているのか気になった。訊いてみようと口を開きかけたとき、携帯電話に着信が入った。画面には『部長補佐』と表示されている。個人の携帯電話の番号も登録し合ったので、連絡が取りやすくなった。「ちょっと電話して...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第26話・二人目の案内人」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第26話・二人目の案内人」by RAPT×TOPAZ

プレトは、思わず両手で二の腕をさすった。ルリスが心配そうな顔をする。「あれ、寒い? プレト、熱があるもんね。冷房消そうか?」「大丈夫。気のせいレベルの微熱だし……でも、どうしてキリンパンが私のこと、名前以外にも何か知っているって思ったの?」...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第25話・深まる疑惑」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第25話・深まる疑惑」by RAPT×TOPAZ

駐車場に着くと、キリンパンが自分のレグルスに乗って、誰かと電話している最中だった。プレトたちが近付くと、話が終わったのか、すぐに携帯電話から耳を離した。ブラウンのレグルスの窓が開き、話しかけられる。「余命、何時間だって?」「600000時間...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第24話・謎の穴」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第24話・謎の穴」by RAPT×TOPAZ

プレトはキリンパンを睨みつけたまま言った。「まさか二日酔い? 叫んだり、ヘラヘラしたり……脳みそ故障してるの?」男に悪態をつきながら、さっき通信機の前で、ルリスの名前を呼んだことを反省していた。ルリスの名前を彼に知られてはいけない。あくまで...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第23話・キリンパンの怪しい態度」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第23話・キリンパンの怪しい態度」by RAPT×TOPAZ

「聞こえてる?」ルリスが通信機に向かって話しかけた。自分の操縦するレグルスを、キリンパンのレグルスの前に移動させている。「おう」「後ろから黒いレグルスが来てるよ。ストーカーかもしれないから、対応お願いね」「よろしく」プレトも短く声をかけた。...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第22話・幻のつづき」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第22話・幻のつづき」by RAPT×TOPAZ

旅に出て7日目を迎えた。プレトは夜明け前に目が覚めてしまい、ベッドから抜け出した。ペットボトルの水を飲んでいると、バスルームから水が流れる音が聞こえてきた。出しっぱなしにしていたのだろうか。 バスルームの扉を開けてみると、空っぽの湯船の中に...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第21話・リバースパンダの襲撃」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第21話・リバースパンダの襲撃」by RAPT×TOPAZ

リバースパンダがノソノソとこちらに歩いてきた。地面の匂いをしきりに嗅いでいる。3人は様子を見ながら、徐々に走り出した。建物に入るか、レグルスに乗り込むのが最も安全なのだが、今は全ての建物がシャッターを閉めているので、レグルスを目指すしかない...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第20話・新たな同行人」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第20話・新たな同行人」by RAPT×TOPAZ

通信機から男の声が聞こえる。「このまま進んで問題ないよな? なんかあったら言えよ」「はーい」ルリスが返事をし、続けて尋ねる。「街の中のルートとは言っても、街も途切れたりするよね?」「そりゃあな」「じゃあ、今まで通ってきた道と、そんなに変わら...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第19話・ストーカーとの対決」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第19話・ストーカーとの対決」by RAPT×TOPAZ

名前を呼ばれ、思わずドアにかけていた手を止めた。ストーカーに名前まで知られているのか? そう思うと、虫酸が走った。プレトは声を無視し、再びレグルスに乗り込もうとしたが、また声をかけられた。「待てよ!  頼まれたんだ!」プレトは顔をしかめなが...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第18話・雲を食べる」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第18話・雲を食べる」by RAPT×TOPAZ

「オルタニング現象……が、どうしたの? 週一くらいで見かけるけど」ルリスが問いかけてきた。オルタニング現象とは、氷を多く含んだ雲が自重に負け、そのままの形で地上に落ちてくる自然現象のことだ。外国ではデマ扱いをされているようだが、この国では日...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第17話・廃れた遊園地」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第17話・廃れた遊園地」by RAPT×TOPAZ

プレトは腰掛けていたベッドから飛び降りた。バスルームからルリスの悲鳴が聞こえたからだ。あわてて向かうと、服を脱ぐ前のルリスが、バスルームのドアを開け、今にも泣きそうな顔をしている。ルリスはバスルームの中を指差しながら、苦しそうな声を出した。...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第16話・寂れた街」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第16話・寂れた街」by RAPT×TOPAZ

プレトとルリスは事故対応を終えると、ピンクのレグルスで次の街へ移動していく。プレトは、発熱しているルリスの代わりに操縦をすると申し出たが、ハンドルを握っていた方が元気になるからと断られたので、やむなく助手席に座ることにした。足元のバックパッ...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第15話・理不尽な取り調べ」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第15話・理不尽な取り調べ」by RAPT×TOPAZ

プレトは警察に連絡をする。一応、救急車も来てくれることになった。「今度はまともな警官だといいな……」連絡を終えてルリスに言うと、友人は意味ありげに首をかしげた。プレトはルリスと共に、レグルスの周りをぐるっと一周しながら、携帯電話で次々と証拠...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第14話・故意の衝突事故」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第14話・故意の衝突事故」by RAPT×TOPAZ

「ただいまー」「おかえりー」プレトがホテルに戻ったとき、ルリスは布団にくるまっていた。 ルリスに冷えたスポーツドリンクを手渡し、他のドリンクは冷蔵庫にしまっておく。そのとき、プレトの携帯電話に着信が入った。誰かと思えば、チユリさんだった。「...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第13話・プーリー犬と死者の行列」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第13話・プーリー犬と死者の行列」by RAPT×TOPAZ

プレトは犬に近付いて撫でてみた。「合わせたほうがいいよ」という少女の言葉に従うことにしたのだ。「ドラッグストアにいきたいんでショ。こっちだヨ」犬はそう言って、トコトコと歩きだす。プレトはやむなく犬についていった。まっすぐにのびた路地には、空...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第12話・奇妙な噴水広場」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第12話・奇妙な噴水広場」by RAPT×TOPAZ

クリームと別れた後、隣街に着くまでレグルスで20分ほどかかった。その街は、 古い民家が軒を連ねているかと思えば、道を一本隔てたところに、ビルが建ち並ぶオフィスエリアがあったりする。人通りが多く賑わっているが、どこかアンバランスな雰囲気が漂っ...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第11話・クリームの出身」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第11話・クリームの出身」by RAPT×TOPAZ

夜もふけてきたので、プレトとルリスは寝ることにした。焚き火を消して、ランタンをつける。テント内にマットを敷き、その上に寝袋を広げた。「ルリス。焚き火が消えてるか、また一緒に確認してくれる?」「もちろん」改めて火が消えていることを確認し、2人...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第10話・初めての野営」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第10話・初めての野営」by RAPT×TOPAZ

「プレト…」ルリスの声に、プレトはハッとした。横に目をやると、ルリスが立ちすくんでいる。クリームも様子を伺うように、プレトの顔を覗き込んでいた。「何もできなくてごめん」ルリスが蚊の鳴くような声で言った。「……ううん。なんとか収まってよかった...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第9話・カスタードルフィンをめぐる冤罪」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第9話・カスタードルフィンをめぐる冤罪」by RAPT×TOPAZ

「ひどいケガ…」ルリスは膝をついて、カスタードルフィンに顔を近付けた。正式名称はカスタード・ドルフィンだが、連続する「ド」をくっつけて、カスタードルフィンと呼ばれている。淡い黄色の体色と、クリーム状の体液を持つことから、この名前がつけられた...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第8話・旅の本当の理由」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第8話・旅の本当の理由」by RAPT×TOPAZ

「…ちゃん、おは…う」通信機から聞こえる声で目が覚めた。「プレパラートちゃん、おはよう」今度ははっきりと聞こえた。プレトがのそのそと体を起こし、隣のレグルスを見てみると、ルリスがこちらに向かって手を振っていた。「ルリスズメダイちゃん、おはよ...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第7話・ウチワモルフォ」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第7話・ウチワモルフォ」by RAPT×TOPAZ

公園内の親子連れが、不思議そうにこちらを見ている。プレトとルリスは慌てて手を離した。「今日はこの街で宿をとろう」プレトがそう言うと、ルリスが意外そうな顔をする。「装備の量からして、車中泊か野宿だと思ってた」「そうなることもあると思うけど、宿...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第6話・旅立ちの日」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第6話・旅立ちの日」by RAPT×TOPAZ

プレトは、白い愛車に装備を詰め込んでいく。沢山あるから、1人乗り用のレグルスはスペース的にギリギリだった。シートの背もたれを倒す余裕もなさそうだ。しかし、チユリさんが必死でかき集めてくれたものなので、すべて持って行きたかった。服装は上下セッ...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第5話・別れの挨拶」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第5話・別れの挨拶」by RAPT×TOPAZ

ルリスと言い争いをした数日後、プレトは職場で装備を受け取った。「重くなってごめんね」と、チユリさんが渡してくれた。確認してみると、通常の装備よりもかなり充実している。予備も多く入れられていて、何かが故障しても不足することはなさそうだ。「こん...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第4話・すれ違い」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第4話・すれ違い」by RAPT×TOPAZ

暗い気持ちに支配されているうちに、定時になった。プレトは重い足取りで帰宅の準備をする。リュックを背負ったところで、チユリさんに話しかけられた。「これ、レインキャニオンの資料よ。渡しておくね」プレトは受けとる。資料は使い古されたものではなく、...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第3話・所長との対峙」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第3話・所長との対峙」by RAPT×TOPAZ

プレトはレグルスで職場に向かいながら、これから起こりそうな展開を予測する。プライドの高い所長に、苦情の申し立てをするのだ。怒鳴られるだろうか、なじられるだろうか。考えただけでつらい。職場に着くなり、チユリさんが駆け寄ってきた。所長がいるから...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第2話・不可解な応答」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第2話・不可解な応答」by RAPT×TOPAZ

プレトは困惑した。命令書を見るのは初めてだった。 よく見ると、差出人は職場だけでなく、法務省も連名になっていた。法務省にも関係があるのか?短い命令書の内容を何度か読み返してみたものの、プレトには全く状況が掴めない。 プレトは思う。そもそもパ...