イギリスの郵便局長ら700人以上が、横領や不正経理など無実の罪を着せられた冤罪事件に再び注目が集まり、事件の元凶となった「富士通」を糾弾する動きが高まっています。
イギリスの郵便局では、1999年から2015年にかけて窓口の現金と会計システム上の残高が一致しないトラブルが相次ぎ、700人以上の郵便局長らが不正経理や窃盗、横領などの罪で刑事訴追されました。
郵便局の窓口業務を担っていた職員らは、支店口座の不足額を埋め合わせるために多額の弁済を強いられて破産したほか、刑務所での服役を余儀なくされ、これまでに少なくとも4人が自殺を遂げました。
その後、一連のトラブルは1999年に導入された富士通の会計システム「ホライゾン」の欠陥が原因だったことが判明し、イギリス史上最大規模のえん罪事件へと発展する事態となりました。
しかし、これまでに有罪判決が取り消された人はわずか93人にとどまり、「全面的かつ最終的な」補償で和解した人は30人のみとなっています。
収監された職員の中には妊娠中の女性も含まれ、その女性は「薬物中毒の人たちと一緒に閉じ込められ心底怖かった」「おなかに子供がいなかったら、自殺していた」と当時の状況を涙ながらに語っています。
当時「全国民間郵便局長連盟」の幹部だったマイケル・ルドキンさんも被害者の一人で、郵便局側から4万4000ポンド（約817万円）もの現金が不足していると指摘され、妻のスーザンさんが不正会計罪で有罪判決を受けることとなりました。
ルドキンさんは、現金の不足を指摘される前日に、富士通UKのオフィスを訪れており、「ホライゾン」を担当する技術者が、端末を通じて郵便局長の口座を操作する場面を目撃したと話しています。
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この事件について、スナク首相は 「これは、わが国史上最大のえん罪事件のひとつです。被害者は正義と補償を得なければならない」と述べ、被害者となった元郵便局長らを速やかに無罪とし、補償するための新たな法律を導入すると明らかにしました。
現在、イギリスでは、会計システムを提供した富士通を糾弾する動きが高まっており、議会下院では「このスキャンダルに責任があると証明された者は被害者救済のためのすべての支払いについて義務を負うべきだ」との声も上がっています。
16日には議会下院の委員会で、富士通幹部が証言する予定となっており、富士通側は「郵便局長らの苦しみに対する自社の役割について謝罪してきた」としたうえで、「調査に全面的に協力する。現時点でこれ以上のコメントは差し控える」とコメントしています。
この一連の事件を受け、「富士通がえん罪生成の欠陥システムを練成してしまっていた。 賠償金は天文学的になる可能性も」「開発の不備を相手に擦り付けていた様に見えますし、本当に酷いと思います。 人事制度上犠牲に為らざるを得なかった人達が報われて欲しい」「システムの欠陥って怖ろしい。自分だっていつ巻き込まれるかわからない」といったコメントが続々と投稿されています。
これまでに富士通は、重大なトラブルを幾度も起こしており、2002年に発生した「みずほ銀行」のシステム障害では、富士通を含む3社が批判を浴びました。
2005年には、「東京証券取引所」が誤発注を取り消せないトラブルに見舞われ、400億円を超える損失を出しましたが、東証の株式売買の基幹システムを開発したのは富士通でした。
最近では、富士通が各自治体に提供したシステムにより、マイナンバーや住民票、戸籍証明書が他人に漏えいするトラブルも相次ぎました。
◯【マイナンバー制度】横浜市で他人の住民票が18件発行 うち一件はマイナンバーが漏出 横浜市の採用する富士通のシステムを他の多数の自治体も使用
システムの欠陥を隠蔽し、人々の人生を破壊した者たちに厳正な裁きが下されますことを心から祈ります。
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