連載小説 – プレトとルリスの冒険

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【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第93話・検察からの提案」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第93話・検察からの提案」by RAPT×TOPAZ

研究所にいたこと、命令書が届いたことを話すと、法廷内がざわついた。四方八方から視線が突き刺さるのが肌で分かる。警備員がすぐ傍までやってきた。そして、所長と目が合った。所長は無表情で無言だが、圧力がすごい。『死に損ないの小娘が』という罵倒が今...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第92話・所長の裁判」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第92話・所長の裁判」by RAPT×TOPAZ

プレトはベッドの下で聞き耳を立てた。複数人の足音と話し声が聞こえる。ルリスは警官たちを家の中に入れたのだろう。少し経つと、ドア越しに会話が聞こえてきた。「動物実験もしたようですが、動物たちはどこに?」知らない女の声だ。「今は寝室にいます」こ...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第91話・突然のガサ入れ」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第91話・突然のガサ入れ」by RAPT×TOPAZ

翌日、警察署に向かうルリスを見送るために、プレトは玄関に立っていた。フラットシューズを履くルリスの背中が小さく見える。「それじゃあ、行ってくるね」立ち上がり、振り返ったルリスが顔の横で小さく手を振った。「うん、行ってらっしゃい」そう声をかけ...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第90話・警察署からの電話」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第90話・警察署からの電話」by RAPT×TOPAZ

プレトとルリスは、ソファに腰かけて肩を寄せていた。研究所を作ろうとしただけで妨害が続いたため、少し放心していた。頭を空っぽにして脳を休めたかったのだ。「プレト、プレト」ルリスに肩をつつかれた。「ん?」「ボーっとしているのもあれだから、祈ろう...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第89話・国からの妨害」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第89話・国からの妨害」by RAPT×TOPAZ

プレトはその晩、ルリスのケガが早く治るようにと祈った。寝不足を心配しているルリスには、早く寝るようにと促されたが、祈っているうちに目が冴えてきた。さらに、不思議と手足が温かくなってきた。夏も終わりに近付き、秋風を感じられるようになったからか...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第88話・後味の悪い会話」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第88話・後味の悪い会話」by RAPT×TOPAZ

不規則になりかけた心臓を叩き、プレトは口を開いた。「同期と話せますか? 直接話したら、何か分かるかもしれないので⋯⋯」「分かった。探してくるわね。こっちからまた連絡するわ」一旦、通話を終え、ルリスに声をかけた。「チユリさんが同期を見付けたら...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第87話・ 同期の裏切り」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第87話・ 同期の裏切り」by RAPT×TOPAZ

チユリさんが数人に声をかけてくれたらしく、研究所の昼休みに合わせてビデオ通話を行うことになった。「プレトさーん、ルリスさーん」画面の向こうでチユリさんが手を振っている。それに合わせて、周りにいる職員もこちらに手を振りはじめた。知っている顔と...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第86話・チユリさんの提案 」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第86話・チユリさんの提案 」by RAPT×TOPAZ

プレトは洗剤を作りながら、自分たちの研究所について考えた。『研究所』と名乗る分には自由だし、研究所を名乗ることで得られるメリットは何かしらあるだろうが、目をつけられる原因を増やしてしまいかねないのが気がかりだ。後から「コソコソ活動していれば...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第85話・新しい研究所 」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第85話・新しい研究所 」by RAPT×TOPAZ

翌日、起床すると共にSNSをチェックした。昨日投稿したものがどれぐらい見られているのか確認したかったのだ。ソファに腰かけ、ルリスが渡してくれたマグカップを左手で受け取った。熱々の紅茶が並々と注がれている。プレトは重い瞼をグリグリとこすると、...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第84話・攻撃と反撃」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第84話・攻撃と反撃」by RAPT×TOPAZ

プレトとルリスは、頭に覆い被さった雲を払いのけた。「これは、完璧にイヤがらせだよね」「どう見てもね」プレトはフロントに置かれた紙をつまみ上げた。「そういえば、リサイクルショップで知らない人にジロジロ見られてた気がする。そこで目をつけられちゃ...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第83話・ルリスの歌声」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第83話・ルリスの歌声」by RAPT×TOPAZ

ルリスの歌を投稿すると、歌った本人はそそくさと寝る支度を始めた。「もう寝るの?」「だって、なんだか恥ずかしいから」「投稿が伸びていくところを見ればいいのに」「伸びるとは限らないでしょ。明日起きてから確認すればいいよ。プレトももう寝たら? 最...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第82話・起死回生のアイデア」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第82話・起死回生のアイデア」by RAPT×TOPAZ

プレトとルリスは、注文されていたパラライトアルミニウムと、少年に贈る用のムーンマシュマロを発送した。「とりあえず、今日のタスクはこなせたかな」「そうだね。ルリスはさ、いいアイディアある?」「なんの?」「この国でディユを流通させないための作戦...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第81話・隣国のテロ計画」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第81話・隣国のテロ計画」by RAPT×TOPAZ

「部長補佐が隣国からのスパイというのは、ほぼ確定として⋯⋯これからどうしようね」ルリスは口を尖らせて言った。「隣国とか35日っていう企業について情報収集したらいいかな。というか、それくらいしかできないよね」プレトはそう答えると、パソコンを起...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第80話・スパイと35日」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第80話・スパイと35日」by RAPT×TOPAZ

目覚めたルリスはキッチンに立つなり、「おりゃおりゃ」と何かを叩き始めた。「どうしたの?」プレトが尋ねると、ルリスは答えた。「ポテトサラダを作るから、ジャガイモをマッシュしているの。敵の頭だと思って潰すと、あっという間に滑らかになるね」「へえ...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第79話・悪の手口」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第79話・悪の手口」by RAPT×TOPAZ

「私たちはできることからやっていくしかないよね。引き続き梱包、頑張ろっか」その日の注文分を全て発送しても、食事をしても、ベッドに入っても、プレトの頭の中はチョコレート製品のことでいっぱいだった。ムーンマシュマロに代わる解毒剤になってくれると...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第78話・隣国の怪しいスパイス」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第78話・隣国の怪しいスパイス」by RAPT×TOPAZ

翌日、製薬会社がラピス溶液の材料を偽っていたことが、ネットニュースで報じられた。製薬会社はレシピについての詳しい声明をまだ出していないようだが、材料を偽って大きな利益を出していたことは国民に広く知れ渡ったようだ。こうして製薬会社の信用が失墜...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第77話・ラピス溶液のレシピ公開」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第77話・ラピス溶液のレシピ公開」by RAPT×TOPAZ

その後もパラライトアルミニウムの注文がいくつか入り、二人は梱包作業に追われた。その日の分を発送すると、どっと疲れが押し寄せてきた。「これはこれで大変だね」ルリスは自身の右手を左手で揉んでいる。「フォロワーが宣伝してくれているから、明日はもっ...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第76話・新たな商売」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第76話・新たな商売」by RAPT×TOPAZ

ルリスはリビングに置かれた虹とハロを見て、ぼそっと言った。「あんなに頑張って採取したのに、使い道がなくなっちゃったね」「きれいだけど、こうして見るとめちゃくちゃ場所をとってるよね」「庭に出すと悪目立ちしちゃうし……どこかに埋める?」「虹を埋...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第75話・パクられたムーンマシュマロ」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第75話・パクられたムーンマシュマロ」by RAPT×TOPAZ

クライノートを二人でチェックすると、プレトがパラライトアルミニウムに沈められている動画について、様々な憶測が飛び交っていた。主に「悪い陰謀論者だから罰を与えられている」「所長側の人間だったが、裏切ったために報いを受けている」「正しいことをし...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第74話・殺人未遂の映像」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第74話・殺人未遂の映像」by RAPT×TOPAZ

「警察の対応、どうだった?」戻ってきたルリスに質問した。「ありえない。本当にありえない。人員を総入れ替えした方がいいと思う」ムーンマシュマロの販売を一旦諦め、帰りがてら警察署に立ち寄り、営業妨害をされた旨を訴えてみることにしたのだ。着ぐるみ...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第73話・営業妨害」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第73話・営業妨害」by RAPT×TOPAZ

〈ゴライアス〉の投稿に対してコメントを書き込み、少し経つと返信が来た。『ムーンマシュマロのせいで、腎臓に機能障害が現れたと聞いた。腎不全らしい。一体どう責任を取るつもりなんだ』それを見たルリスが、呆れたような声を出した。「腎臓? いやいや、...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第72話・アンチ登場」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第72話・アンチ登場」by RAPT×TOPAZ

翌日、早朝からルリスがムーンマシュマロ作りに励み、急いで梱包したものを昨日と同じ公園へ運んだ。販売の準備をしながらルリスに尋ねた。「ねえ、本当に販売しても大丈夫なんだよね」「もろもろの許可はちゃんと取ってあるから、心配しないで」「了解。でも...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第71話・大好評のムーンマシュマロ」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第71話・大好評のムーンマシュマロ」by RAPT×TOPAZ

ルリスが保健所から帰ってきた。「ただいま。製造許可の申請ね、すぐに通ったよ。パンデミックとかワクチン騒ぎのせいで閑散としてるみたい。タイミングよかったー」「順調だね。これ見てくれる?」ルリスに派手なレグルスの写真を見せると、目を皿のように丸...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第70話・思わぬ回避策」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第70話・思わぬ回避策」by RAPT×TOPAZ

このままではムーン液を流通させることができない。解毒剤をみんなに届けることができない。プレトはソファに身体を横たえた。地獄のパラライトアルミニウム責めから生き延びたのに、こんなところでつまずいてしまうなんて。全くやる気が出てこなくなってしま...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第69話・国の圧力」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第69話・国の圧力」by RAPT×TOPAZ

「所長め……」ルリスが恨み言を呟きはじめた。「プレトをパラライトアルミニウムに沈めようだなんて、絶対に許さない。取り巻き連中も……肥溜めに落とした後、土下座させてやる」「もしもあのまま溺死していたら、私の出汁入りパラライトアルミニウムが市場...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第68話・意外な助け」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第68話・意外な助け」by RAPT×TOPAZ

パイプから流れこんでくるパラライトアルミニウムは勢いを増している。あっという間に腰のあたりまでどっぷりと埋まってしまった。「ここから出せ!」屋上に向かって叫んだが、無視された。いっそのこと、帳簿を持ち去ったのは自分だと自白してしまおうか? ...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第67話・ワクチンの解毒剤」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第67話・ワクチンの解毒剤」by RAPT×TOPAZ

抱いていたモルモットをケージに戻し、解毒剤の実験を始めた。ルリスは家にある調味料を片っ端からハロに塗りつけている。意外と食用の酢で溶けたりしないかと期待したが、特に変化はなかった。昼過ぎから始めたが、気がつくと夕方になっていた。沈みかけた夕...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第66話・所長の緊急記者会見」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第66話・所長の緊急記者会見」by RAPT×TOPAZ

翌日は休みだったので、プレトとルリスは連れ立って外出した。治験に使う動物を手に入れるため、ペットショップに行くことにしたのだ。「本当は一人で行ければいいんだけど、レグルスがないから動物たちを運べなくて……ごめんね。顔は隠してね。私といるせい...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第65話・秘密の帳簿」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第65話・秘密の帳簿」by RAPT×TOPAZ

プレトは再び、部長補佐からの電話に出た。そして言った。「所長たちが隠している帳簿を探す代わりに、私からもお願いがあります。スパイク肺炎ワクチンの解毒剤を作りたいと思っているのですが、そのサポートをしていただきたいです」「解毒剤? なんですか...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第64話・部長の不正」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第64話・部長の不正」by RAPT×TOPAZ

倉庫内を進み、虹とハロを置いているはずの場所まで来たが、見当たらない。あの大きさの物を見落とすはずはない。困惑しながら忙しなく視線を動かしていると、背後から足音が聞こえてきた。慌てて振り向くと、チユリさんが立っていた。そうか、チユリさんが中...