連載小説 – プレトとルリスの冒険

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【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第63話・突然の部署異動」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第63話・突然の部署異動」by RAPT×TOPAZ

「行ってきまーす!」プレトは錆びた自転車にまたがった。レグルスがない今、研究所への移動手段は徒歩か、この自転車だけだ。「ちょっと待って、これを着けていって」ルリスにサングラスとマスクを渡された。「これは?」「クライノートで顔写真が拡散された...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第62話・同僚からの嫌がらせ」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第62話・同僚からの嫌がらせ」by RAPT×TOPAZ

プレトは思いきって質問した。「チユリさん、顔色が悪いようですが、体調でも悪いんですか?」「ううん、体調は大丈夫。でも、研究所の中がとっても最悪で……」「最悪と言いますと、誰かの実験が大失敗したとかですか?」「いいえ。どう言えばいいのか分から...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第61話・研究所への帰還」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第61話・研究所への帰還」by RAPT×TOPAZ

寝ているルリスの身体を揺すっていると、ゴウンと鈍い音がしてデザート号が揺れた。「なになに!」ルリスが跳ね起きた。数秒の間を置いて、再び揺れた。地震ではないようだ。何かがぶつかっているのだ。「まさか、所長からの刺客?」ルリスが不安そうに呟いた...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第60話・サタンとの戦い」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第60話・サタンとの戦い」by RAPT×TOPAZ

「プレトも操縦マニュアル読んでみる?」シンプルな冊子を手渡された。表紙には何も書かれていない。ただの真っ白だ。中には飛行物体の図面などが描かれていて、ほとんど文字がない。充分に訓練を受けたパイロットが、念のため持つようなものなのかもしれない...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第59話・思わぬ拾い物」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第59話・思わぬ拾い物」by RAPT×TOPAZ

ルリスが潰した紙コップを眺めていると、外で作業をしていた店主が戻ってきた。背中を丸め、悲しそうな表情をしている。こちらに来て少し間を置くと、とても話しづらそうな顔をして言った。「お客さん、申し訳ございません。修理できると思ったのですが、その...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第58話・所長の刺客」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第58話・所長の刺客」by RAPT×TOPAZ

プレトは"それ"と目が合い、ぎょっとした。ものすごい迫力だ。こんなの見たことがない。レインキャニオンでの獰猛な植物や肉塊も初めて見るものだったが、『レインキャニオンだから』という理由で納得ができた。しかし、どこかに街がある砂漠に、こんな恐ろ...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第57話・砂漠の怪物」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第57話・砂漠の怪物」by RAPT×TOPAZ

「ワクチンを接種しても、虹で治ったりしないかな?」プレトが呟いた。ディストピアな想像ばかりしていられない。「虹は、生き物以外の毒にも効果があるのかな?」と、ルリス。「まだ分からないけど、あったらすごいよね。今は研究所に虹の在庫はないみたいだ...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第56話・パンデミック宣言」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第56話・パンデミック宣言」by RAPT×TOPAZ

「そういうことだから、帰ってきて大丈夫だからね。そういえば、あれは試したの?」チユリさんに質問された。「あれというのは……虹を食べてみるっていうあれですか? 試しましたよ」「ほんとに! どうだったかしら」「蛇口をひねったように鼻水が出てきま...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第55話・帰路」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第55話・帰路」by RAPT×TOPAZ

ルリスが新しいタオルを渡してくれた。それで頭をふき、給水タンクを持ってレグルスに戻った。「雲でレグルスを包まないと、泥沼を抜けられないね。まあ、雲自体には困らなさそうだけど」プレトがそう言って空を見ると、ふわん、ふわんと、雲が次々と落ちてき...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第54話・治った体」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第54話・治った体」by RAPT×TOPAZ

プレトは必死で肉塊を振りはらおうとしたが、右脚にぶらさがっているそれは、全く離れそうになかった。いくら脚を振ってみてもびくともしない。歯が食い込んでいるのだろうか。「プレト!」頭上から心配そうな声が聞こえてくる。上に顔を向けると、ルリスはす...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第53話・レインキャニオンからの脱出」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第53話・レインキャニオンからの脱出」by RAPT×TOPAZ

いよいよ虹に刃を入れたプレトを、ルリスが携帯電話で撮影していた。こちらに近付いてきた肉塊をシャモジが相手しているため、現時点で危険はなさそうだ。「今ここで虹を食べてみる? 早く治したいよね?」と、ルリス。「いや、今は体調は安定しているし、食...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第52話・虹の採取」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第52話・虹の採取」by RAPT×TOPAZ

バックパックに荷物を詰めなおし、虹の採取用の装備に切り替えた。縄梯子を近場の岩にくくりつけ、レインキャニオンの谷間に垂らした。長さは充分に足りている。「シャモジは軽いけど大きすぎるから、さすがに抱えては降りられないな……」「ちょっとかわいそ...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第51話・レインキャニオン攻略準備」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第51話・レインキャニオン攻略準備」by RAPT×TOPAZ

プレトが目を覚ますと、太陽が顔を出す寸前だった。ルリスが寝息をたてている……と、思ったとたんに瞼を持ち上げた。ムクリと起き上がると、何度か瞬きして言った。「なんだかすごく元気な気がする。疲れが全く残っていない。おはよう!」「おはよう、元気な...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第50話・輝く人」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第50話・輝く人」by RAPT×TOPAZ

レインキャニオンの端っこに立ちすくみ、これからどうしたものかと二人で考えあぐねていたが、何も思いつかないうちに日が暮れてしまった。安全を考慮し、今夜はレグルスで車中泊をすることにした。ルリスが寝袋にくるまり、ひとりごちた。「虹まで行って、虹...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第49話・レインキャニオンの端っこ」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第49話・レインキャニオンの端っこ」by RAPT×TOPAZ

ルリスが引き伸ばした自作の雷雲で、レグルスを包んで言った。「レグルス餃子できたよ!」「すごー!!」少年はそう言うと、ぽかんと口を開いた。ルリスの愛車は薄い雲に包まれ、ファンタジーな装いになった。これで再び、アメーバのようなものが飛んできても...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第48話・アメーバ対策」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第48話・アメーバ対策」by RAPT×TOPAZ

プレトが、仮眠中に少女から得たヒントについて説明すると、ルリスは腕を組んで考え込んだ。「うーん……雷と固定した雲が、このアメーバみたいなやつの対策になると……」「難しいヒントだよね……とりあえず、ルリスは仮眠とりなよ。私はその間に考えてみる...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第47話・小さな助っ人たち」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第47話・小さな助っ人たち」by RAPT×TOPAZ

公園の中では、大勢の子供たちが遊んでいた。「朝早くから元気だな……私はもうクタクタだよ……」子供たちを尻目に、プレトは頭痛薬を飲んだ。「これさ、なんとか対策を考えないとまずいよね。これからも追いかけてくるだろうし、その度にベタベタくっつかれ...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第46話・アメーバ状の新兵器」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第46話・アメーバ状の新兵器」by RAPT×TOPAZ

二人は街から出て、近くに住宅がないところまでやってきた。不審者にレグルスを細工されている可能性を考慮し、センサーが反応するかどうか、木で試すことにしたのだ。「あの木で試してみようかな。誰もいないし、ぶつからないように気をつけるし、迷惑にはな...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第45話・襲い来る敵たち」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第45話・襲い来る敵たち」by RAPT×TOPAZ

代わり映えのない景色が、レグルスの外を流れている。プレトはルリスの携帯電話で、クライノートをチェックしていた。「交流してくれそうな人がぼちぼちいるみたいだよ。それに、円錐型の機械の名前が判明して、みんなが使い始めているよ」「とうとう分かった...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第44話・防犯・安全基本法の改正案」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第44話・防犯・安全基本法の改正案」by RAPT×TOPAZ

レグルスの中に射し込んだ夕陽が、座席にぐったりともたれた二人を照らしていた。「人口管理をしたい本当の理由……分からん……」プレトが呟いた。「そう簡単には見つからないよね……わざわざカモフラージュ用の理由を用意しているくらいだもんね……」ルリ...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第43話・人類の数の管理」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第43話・人類の数の管理」by RAPT×TOPAZ

ルリスはヘヘヘと笑いながら話した。「……不思議な旅だなあ。ここ数日で人生がガラッと変わったよ」一度大きく伸びをし、それから話を続けた。「思ったんだけどさ、〈ゴライアス〉って、わたし達の投稿を引用しているよね? それって、むしろわたしたちの言...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第42話・誹謗中傷」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第42話・誹謗中傷」by RAPT×TOPAZ

ルリスがハンドルを握ったまま呟いている。「製薬会社と警察庁が深い関係……つまり、資源省と警察庁が深い関係……プレトの職場は資源省の管轄……なんだかさ、相手が大きすぎない?」「むーん……私、そんなに悪いことしたっけ?」「していないね、何一つ」...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第41話・この国の組織形態」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第41話・この国の組織形態」by RAPT×TOPAZ

ルリスが目を覚まし、唸りながら起き上がった。「とんでもない体勢で寝ちゃった……プレト、少しは元気出た?」「おかげさまで」プレトは、幻の中で少女からもらったヒントを、ルリスに一通り話した。ただし、あくまでも『夢』としてだ。不必要に怖がらせたく...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第40話・幻の少女がくれたヒント」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第40話・幻の少女がくれたヒント」by RAPT×TOPAZ

プレトは気がつくと、林のような場所に立っていた。あれ? レグルスの中で、ルリスと昼寝をしていたのに……これは夢かな?そのとき、突風が吹き、プレトの髪の毛を踊らせた。同時に大量のムイムイに包まれてしまった。「痛たたたた!」すごい早さのムイムイ...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第39話・有害なワクチン」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第39話・有害なワクチン」by RAPT×TOPAZ

「パラライトアルミニウムは食べたらダメなの? 虹は齧っても大丈夫なのに?」ルリスが眉をひそめながら訊いてきた。「虹は一口くらいならいいのかもしれないけれど……パラライトアルミニウムは、ラピス溶液と化学反応させてできたものだから……シロップと...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第38話・ムイムイハリケーン」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第38話・ムイムイハリケーン」by RAPT×TOPAZ

強風に圧され、骨組みが軋んだかと思うと、テントごと横転しそうになった。少し浮遊感も感じた。「わあ! 浮きそう! テントごと飛んでっちゃうよ!」「早く畳まないとまずい!」そう言いながら、プレトはテントから這い出した。「痛てててて! 痛い! ム...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第37話・大勢の味方」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第37話・大勢の味方」by RAPT×TOPAZ

肩をつつかれ、瞼を持ち上げた。窓からは光が射し込んでいる。もう朝らしい。プレトの顔を覗き込んだルリスが、困ったような顔をしながら口を開いた。「クライノートでバズった投稿、規約違反扱いされて、消されたみたい……」……聞かなかったことにしよう。...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第36話・見えてきた希望の光」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第36話・見えてきた希望の光」by RAPT×TOPAZ

「さっきから気になってたんだけどさ……プレトのスマホ、ずっと震えてない?」ルリスが不思議そうに尋ねてきた。プレトは答える。「そうなんだよ、腿がマッサージされている」さっきから携帯電話がずっと鳴りっぱなしだ。マナーモードにしていたから、ジャー...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第35話・見てはいけないもの」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第35話・見てはいけないもの」by RAPT×TOPAZ

助手席に座ったプレトが、クライノートを簡単にチェックすると、ピリピリしている投稿で溢れかえっていた。政治家の悪口でいっぱいだった。パラライトアルミニウムの高騰で、生活必需品が倍の値段になるのだから、当然といえば当然だろう。SNSのアカウント...
【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第34話・奇跡の脱出」by RAPT×TOPAZ

【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第34話・奇跡の脱出」by RAPT×TOPAZ

やれることはもうない……いや、ある。最後に一つだけ。プレトはアーミーナイフを握りしめ、よろよろと立ち上がった。熱で足元がおぼつかない。浮いているような感覚だ。このまま膜にナイフを突き立て、外まで飛び出せばいいのだ。電圧がどのくらいかは全く分...