かつて「北京の不動産王」「北京のトランプ」と言われた国有大手不動産会社「華遠集団」の元会長、任志強(レン・ジチャン)は2020年9月22日、「汚職、収賄、公金横領」の罪で懲役18年、罰金420万元(約6470万円)の実刑判決を受けました。
中国共産党中枢のエリートだった任氏は、習近平を「ピエロ」と呼び、新型コロナウイルス感染症対策を厳しく批判するなどしていました。
そのため、任志強への刑罰は、党内の反習近平勢力への見せしめにする狙いがあったと見られています。
○習主席批判の任志強氏に18年の懲役 政治犯よりも重い判決が「紅二代への見せしめ」との見方
中国の著名な企業家で、習近平指導部をくり返し批判してきた任志強氏に収賄罪などで懲役18年、罰金420万元(約6400万円)の判決。中国共産党内では「予想以上の厳罰だった」との声が出ています。https://t.co/gzvEKDmcvS
— 日本経済新聞 電子版(日経電子版) (@nikkei) September 23, 2020
任志強は「紅二代」といって、毛沢東らと共産革命に参加した長老らの子弟であったため、任志強に対して懲役18年の有罪判決を下したことについて、国内外で大きな波紋が広がりました。
香港の中国時事評論家、林和立は「党内の反習勢力への見せしめで、身内である紅二代でさえ、免れない」とし、習近平は今後、党内にいる自身の政策に反対し批判を展開する人らに対して、さらに言論統制を強めていく姿勢だろうとの見方を示しました。
また、米ラジオ・フリー・アジアは、「今年69歳の任氏が刑期を終了し出所する際、87歳になる。同氏にとって、18年の懲役刑は無期懲役であるに違いない」とし、ジャーナリストの李麗氏は、「これは、当局が任志強に対して刑務所の中で死ねと言ったのと同じだ」と述べました。
一党独裁の国において、政権批判も辞さない任志強は「物言う企業家」として有名で、多くの中国人をひきつけ、SNSのフォロワーは数千万人を数える時期もあったそうです。
しかし、報道の自由の拡大を繰り返し訴えた任志強の中国版Twitterの「微博(ウェイボー)」のアカウントは2016年当局に凍結され、政権批判した刑罰として同年2月から一年間、北京の自宅に謹慎させられていました。
その後、社会復帰を果たしましたが、2020年3月にコロナ対応を巡って、SNS上に「人民の生活はウイルスと(一党独裁)体制の深刻な病気によって害されている」「裸になっても皇帝を演じつづける道化師」と習近平を揶揄して再び批判したため、中国当局に拘束され、懲役18年の実刑判決を言い渡される運びとなりました。
このように習近平は、自らの地位を絶対的なものにするため、自身に都合の悪い人物は容赦なく社会から抹殺しています。
このまま内部争いによって中国共産党全体が崩壊し、習近平もその他の党員も一人残らず裁かれ、滅び去ることを心から祈るばかりです。
○【中国】アリババに過去最高の罰金 3050億円 独占禁止法違反で
○【中国共産党】アリババを見せしめに中国大手ITに独占禁止法の遵守を迫る
国際
○【中国IT企業崩壊の足音】アリババとテンセントで数万人のリストラ 中国共産党の締め付けにより経営難に
○【神様の裁き】中国「恒大集団」の株価急落により、李嘉誠ら香港の不動産王4人の資産価値が1日で約7300億円吹き飛ぶ
○【暗殺の恐怖に怯える習近平】少なくとも14回命を狙われ、歴代指導者の中で記録を更新 異常な警備体制を敷き、恐怖心から腹痛や下痢に悩まされる
コメントを書く