
保育園などに設置された防犯カメラのライブ映像が海外のサイト上に流出し、第三者が閲覧できる状態になっていることが明らかになり、波紋を呼んでいます。
保育園や工場の防犯カメラ映像、500件が海外サイト流出…設定に不備「犯罪に悪用される恐れも」https://t.co/DQ7xErJDdG#ニュース
— 読売新聞オンライン (@Yomiuri_Online) November 3, 2025
読売新聞と情報セキュリティー会社「トレンドマイクロ」が、9月から10月にかけて国内外のネットワークカメラのライブ映像を収集・公開しているサイトを調査したところ、海外の7つのサイトで日本の映像が合わせて約1340件公開されていたとのことです。
このうち、保育園や食品加工工場、パン工場、設備会社、スーパー、高齢者施設、飲食店、コインランドリーなど、「屋内」を撮影しているとみられる映像は90件に上りました。
さらに、民家の玄関先や集合住宅のエントランス、神社の境内、駐車場、車庫などの「敷地内(屋内以外)」が400件以上、観光地などの「屋外」が700件以上に上り、映像が不鮮明なものは約80件確認されました。
これを受け、読売新聞が屋内カメラの設置場所を特定した上で、11カ所の設置者に取材したところ、いずれも映像が流出していた事実に気付いておらず、カメラには「パスワード認証が未設定」や「公開範囲の設定ミス」などの不備が確認されたとのことです。
屋内カメラの多くは、防犯や見守り、安全管理を目的に設置されたとみられますが、中には大阪近郊の保育園で、園児たちの着替えや昼寝の様子が最長5年間にわたって流出していたケースもありました。
◯「園児の着替え」など防犯カメラ映像500件が海外サイトに流出 ─ デジタル化で高まる「監視社会」のリスクを直視し、「自由の価値」の見直しを
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トレンドマイクロの成田直翔シニアスペシャリストは、問題の7つのサイトについて、「個人が興味本位で運営している可能性がある」とし、何者かが特別なプログラムを使ってカメラのIPアドレスを収集・公開している恐れがあると指摘しています。
さらに、「脆弱なカメラがこれほど多いのは驚きで、セキュリティーへの関心の薄さの表れでもある。画像検索機能の向上などにより、映像からカメラの設置場所を特定することは容易になっており、犯罪に悪用される恐れもある。設置者はセキュリティー対策を徹底してほしい」と警鐘を鳴らしています。
2016年1月には国内のネットワークカメラ約4300台の映像が海外のウェブサイト上で公開される事件が発生しており、当時もパスワードを設定せずにカメラを使用していたことが問題となりました。
防犯カメラのセキュリティ管理が不十分だと、個人情報の流出にとどまらず、第三者に悪用されてサイバー攻撃の手段として利用される可能性もあります。
防犯カメラのパスワードを設定しないまま利用すると、外部から不正に侵入されて映像をのぞかれたり、遠隔操作されたりするだけでなく、「DDoS攻撃」と呼ばれるサイバー攻撃の“踏み台”として使われるケースもあります。
「DDoS攻撃」とは、特定のサイトに大量のデータを送りつけてサーバーをダウンさせる手口で、パスワードが設定されていない防犯カメラなどの機器が乗っ取られ、間接的な攻撃に利用されることがあります。
◯ネットワークカメラや家庭用ルータ等のIoT機器は利用前に必ずパスワードの変更を
いや、5年どころじゃないか、10年以上前から警告されてますね……https://t.co/Oj5mWv9xFV
— るくす (@lux_0) November 4, 2025
安全管理が徹底され、誰もが安心して暮らせる社会環境が整備されますことを心から祈ります。
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