
大阪市内では、万博の開催に便乗する形で賃貸マンションが突然「特区民泊」に転用され、住民が一斉に退去を迫られるケースが相次いでいます。
◯〈大阪〉「民泊にするから2か月で部屋を明け渡して」万博会場近くのマンションで、中国系オーナー会社から突然きたムチャクチャな要求、認可要件違反疑惑も…会社を直撃
◯【移民政策】大阪市、『特区民泊』制度により中国人居住者が急増 10年間で2倍以上に

大阪市港区にある賃貸マンションで、「部屋を民泊に転用する」との理由から、住民に2か月以内の明け渡しを求める通知が送られていたことが分かりました。
通知を出したのは、中国系とみられる不動産会社で、住民の間では不安や困惑が広がっています。
このマンションは、大阪・関西万博の会場から地下鉄で10分ほどの場所にある8階建ての建物で、通知はオーナー会社「X社」(大阪市)が、4月末から5月初旬にかけて住民に郵送したとのことです。
通知には、X社が賃貸借契約を結んでいるとした上で、「本物件を全戸民泊使用とするため、通知人(貸主)は貴殿(賃借人)に対し、2025年6月末日までに明け渡しを履行していただきたく、その準備をお願いする次第です」と書かれていました。
住民のAさんは、突然の通知に「引っ越し先の紹介もなければ、費用の補償についても何も書いていないんです。ただ“出て行ってください”とだけ。これが本当に契約中の対応なのかと、頭が真っ白になりました」「6月末を過ぎたら、カギを壊してでも入ってくるんじゃないかと、本気で怖くなりました。住み続けるのが正しいと分かっていても、恐怖には勝てませんでした」と語っています。
法律上、住居の賃貸借契約を解除するには正当な理由が必要で、貸主からの解約申し入れも、原則として6か月以上の猶予が必要とされています。
住宅問題に詳しい弁護士は「民泊への転用を理由に、突然『出て行ってください』は、正当な理由とはいえません。契約を無視した要求です」と話しています。
特区民泊は、国家戦略特区制度に基づいて認められる制度で、2泊3日以上の宿泊から営業可能です。
大阪市は全国の特区民泊施設のおよそ95%を占め、そのうち多くが中国語の対応をうたっているのが特徴です。
特区民泊の認可には「営業者」となる企業の登録が必要で、今回のマンションでは、かつてオーナー企業「Z社」の代理人として活動していた「Y商事」が営業者として登録されていました。
ところが今回、住民に明け渡しを求めているのは別の企業「X社」であることから、大阪市関係者は「特区民泊の認可は他の企業に引き継ぐことができません。営業者がX社に代わっているのなら、民泊としての運用そのものが違法になる可能性があります」と指摘しています。
また、大阪市此花区では先月30日に、14階建、全212室の大規模な特区民泊施設が開業しました。
この施設は、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)に近い立地を生かして年間およそ19万人の利用を見込んでおり、開業初日には、併設された温浴施設に朝から十数人が訪れたとのことです。
もともとは賃貸マンションとして建てられましたが、途中で特区民泊に切り替える方針となり、市への申請にあたっては、住民への理解を得るためとして、事業者による説明会が3回開かれました。
「賃貸の予定が丸ごと民泊マンション」「転用するから退去して」…住民反発、大阪で苦情が5倍超https://t.co/vojYEPtIah#ニュース
— 読売新聞オンライン (@Yomiuri_Online) July 1, 2025
施設の周辺には約380世帯が暮らしており、子育て世帯も多いことから、地域住民の間では環境への影響を懸念する声が上がっています。
住民有志の会は6月上旬、市に対して認定しないよう求める要望書と2万人を超える署名を集めて提出しており、会の代表を務める男性(43)は、「ホテルと同等の規模の民泊施設が、共同住宅として建てられてしまう制度には、明らかに欠陥がある」と訴えています。
ところが、大阪市は6月27日に民泊施設を正式に認め、「確かに最大規模の施設ではあるが、現行の法令には規模を制限する規定はない」としており、認定にあたっては、治安や生活環境への配慮を求める要請書を初めて交付したと明らかにしました。
こうした民泊を巡るトラブルが大阪市内で相次ぎ、認定を受けていない違法な特区民泊も後を絶たないことから、市は専属の対策チームを立ち上げ、対応に追われています。
中国人による民泊の開業は、東京都内でも相次いでおり、ある中国人男性は雷門にほど近い築約40年のビルを、民泊の開業のために約5億円で購入したとのことです。
◯雷門近くのビル、中国人が5億円で購入「金は捨ててもいい」 海外マネー押し上げる路線価

マンションを売った不動産会社によると、コロナ禍が落ち着き始めた3年ほど前から、外国人が民泊開業を目的にビルを購入する動きが目立っており、従業員の一人は「うまくいけばもうけものという感覚で、物件の相場を無視して買い進めている印象だ」と話しています。
地域住民の暮らしに寄り添った誠実な行政が行われますことを心から祈ります。
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