
最高裁判所の第3小法廷は、東京五輪に関する汚職事件で贈賄の罪に問われた広告会社「大広(だいこう)」の元執行役員・谷口義一被告(60)について、上告を棄却する決定を下しました。
東京五輪汚職、大広元幹部の有罪確定へ 最高裁が上告棄却https://t.co/mCD3hhDfJf
— 日本経済新聞 電子版(日経電子版) (@nikkei) October 22, 2025
谷口被告は、大会組織委員会の元理事・高橋治之被告(81)に対し、「東京オリンピックで大広もスポンサー契約業務を行わせてほしい」などと依頼し、見返りとして2020年1月と2022年2月の2回にわたり、計およそ650万円の賄賂を贈った罪に問われていました。
1審の東京地裁は「利欲的な目的で請託を繰り返し、大会スポンサーを決定する手続きを歪め、運営に対する信頼を失わせた」として、谷口被告に懲役2年、執行猶予4年の有罪判決を言い渡し、2審の東京高裁も1審判決を支持していました。
谷口被告側は「支払いはスポーツマーケティングに関する助言への正当な対価であり、賄賂ではない」として無罪を主張し、これらの判決を不服として上告しましたが、最高裁はこれを退け、一・二審の判断を支持しました。
一連の裁判で谷口被告は有罪判決を受けたものの、執行猶予が付いているため、今後4年間に新たな犯罪を犯さず、社会的に問題のない生活を送れば、刑務所に入ることはありません。
オリンピックの組織委員会は半官半民の特殊法人のような構造で、政府や東京都、経済界の有力者が理事や顧問に名を連ねていましたが、検察は一連の事件で「賄賂を受け取った」「渡した」と明確に立証できる一部のケースのみを捜査の対象としていました。
そのため、上層部にいた政治家や官僚などにまで捜査の手は及ばず、さらに広告会社や大手メディアが東京五輪のスポンサーや関係企業でもあったことから、一連の事件はあたかも個別企業の不正行為であるかのように報じられ、組織的な不正の実態もほとんどに解明されていないのが現状です。
◯『東京五輪組織委員会』が“完全消滅”へ 汚職・談合事件の真相解明を待たずして精算法人が業務終了
不正行為が決して見過ごされることのない、真に公正な社会が実現しますことを心から祈ります。
◯東京五輪・パラめぐる談合事件で電通Gに罰金3億円を求刑 電通の元スポーツ事業局長の逸見晃治被告には懲役2年を求刑「400億円超の談合疑惑で、罰金がたったの3億円程度か」と批判殺到
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