
アメリカのAI新興企業「アンソロピック」は、作家から「著作物をAIの学習に不正利用された」として訴えられていましたが、少なくとも15億ドル(日本円で約2200億円)を支払う和解案に合意しました。
著作権侵害訴訟で2200億円支払いへ 米 AI新興企業 和解合意https://t.co/K4y8uYfNi2 #nhk_news
— NHKニュース (@nhk_news) September 6, 2025
アンソロピックはOpenAI出身の研究者グループによって2021年に設立された新興企業で、AIチャットボット「Claude(クロード)」を手がけています。
同社はこれまでに、米IT大手アマゾン・ドット・コムから約80億ドル(約1兆2000億円)、グーグルから約20億ドル(約3000億円)の巨額出資を受けているほか、今回の資金調達ラウンドでは130億ドル(約1兆9300億円)を調達しました。
しかし昨年8月、「アンソロピックが無断かつ無償で違法に海賊版の書籍をAIの訓練に使った」として、3人の作家から損害賠償を求める訴えを起こされていました。
この裁判で、カリフォルニア州の連邦地裁は今年6月、アンソロピックについて、合法的に購入した書籍を生成AI学習に無断使用したことは適法だと認定し、一方で海賊版サイトから無料ダウンロードした約700万冊は著作権侵害に当たると判断しました。
これを受け、アンソロピックは今月5日、AIの無断学習に使用した海賊版書籍約50万冊について、1冊あたり3000ドルを2年以内に支払い、データを破棄する内容の和解案を連邦地裁に提出しました。
同社の動きについて、賠償額が数十億ドル規模に達するとの見方もあったことから、和解を急いだ可能性や、訴訟の長期化を避けて開発を優先させたい思惑があるのではないかと報じられています。
原告側弁護士は「この和解はAI企業に著作権者への支払いを義務づける前例を打ち立てるものだ」と声明を出し、アンソロピックは「引き続き安全なAIシステムの開発に取り組む」とコメントしました。
アメリカでは生成AIを巡って少なくとも約40件の訴訟が起こされており、今回の和解が他の訴訟にも影響を及ぼす可能性があるとみられます。
全てのテクノロジーが、人類の発展のために正しく用いられますことを心から祈ります。
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