
「焼肉店」の倒産件数が今年1月から8月までに32件に上り、過去最多のペースで推移しています。
帝国データバンクの調査によると、これまで焼肉店の倒産は小規模店が中心でしたが、今年に入ってからは中規模店の倒産が増えており、過去最多だった2024年を上回る可能性があるとのことです。
負債額が1億円以上に上る倒産は全体の28.1%(9件)を占め、過去最高の割合となっており、零細店の閉店や廃業を含めると、市場から姿を消した焼肉店の数はさらに多いとみられます。
倒産が増えている背景には「値上げの難しさ」という深刻な課題があり、輸入牛肉など原材料費の高騰と、激しい価格競争や消費者の節約志向も重なり、メニュー価格に転嫁するのが極めて難しい状況となっています。
今年4月から6月の輸入牛肉の平均原価(サーロインやリブロース、かた、ばらなど)は、2020年と比べて7割以上も上昇しています。
加えて、焼き野菜やサラダに使う野菜も天候不順や人手不足などの影響で値上がりしているほか、コロナ融資の返済、電気やガス代、人件費といった店舗運営のコスト増も経営を圧迫しています。
一方、焼き肉チェーンの「焼肉きんぐ」は物価高の影響を受けながらも売り上げを伸ばしており、2008年には6店舗だったのが、2025年6月までに351店舗へと急拡大しています。
同社では、メインの仕入れ先であるアメリカに加えてオーストラリア、カナダ、ウルグアイの4か国から牛肉を輸入し、国内産についても複数の仕入れ先を確保することで、高騰リスクを分散させているとのことです。
また、「焼肉ポリス」「おっせかいマスター」と呼ばれる店員を配置するなど、店舗運営にも工夫を凝らし、厳しい経営環境の中でも集客力を高めています。
◯“焼肉店”倒産が過去最多ペースだが…「焼肉きんぐ」は売上げ増で店舗数も急拡大 「焼肉ポリス」の対面サービスも
今後、大手チェーン各社は生き残りをかけてメニュー価格の引き上げに踏み切るとともに、牛肉以外に羊肉を使ったジンギスカン業態での出店を強化し、女性客など新たな顧客層の開拓を進める動きも見せています。
日本全体が活気を取り戻し、誰もが安心して豊かに暮らせる社会となりますことを心から祈ります。
◯【衰退する日本経済】建設業の倒産件数986件(2025年上半期) 過去10年で最多のペース
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