近年、小中・高校の授業で使用する「タブレット端末」の購入が自己負担となるケースが増え、各家庭に大きな負担がのしかかっています。
文部科学省によると、小・中学校では、全自治体のうち99.9%で、1人につき1台の端末整備が完了しており、公立高校の整備率も予備機を含めると100%を超えているとのことです。
タブレット端末の購入については、自治体によって大きく異なり、23府県は公費負担、24都道府県は保護者負担となっています。
コロナ禍以降は、自己負担での購入に切り替える自治体が増えており、タブレット端末の購入費用が家計を圧迫する事態となっています。
香川県は、県立高校の授業や宿題に使用するタブレット端末について、来年度の新入生から保護者負担に切り替える方針を示しており、約5万5000円の端末価格に加え、学習支援やセキュリティーなどのソフトウェア利用料を合わせて、合計で7万5000円ほどかかる見込みです。
さらに、端末管理の煩雑さを防ぐといった目的で、タブレットの機種を指定する自治体もあるため、その場合は指定の機種を新品で購入する必要があり、既に持っている端末を使うことはできないそうです。
こうした中、県内に住む保護者らが「香川県の高校生のタブレットについて考える会」を立ち上げ、「お金に余裕がある家庭ばかりではない。子育て世帯にとって1人につき10万円近い負担増が厳しいことを、知ってほしい」と訴えています。
文科省の調査によると、公立高校の学校教育費は1年間で平均約31万円、通学関係費に約9万1000円、授業料は約5万2000円ほどかかり、別途、タブレット端末の購入費がかかります。
この状況について、千葉工業大学工学部教育センターの福嶋尚子准教授は「タブレット端末を保護者に負担させれば、購入を断念せざるを得ない人が出ます。高校生の教育条件整備の水準を引き下げる行為です。子どもの学ぶ権利の観点からもっと真剣に考えるべきです。経済的に厳しい家庭だけを支援すればいいという負担額ではない。そんなにお金がかかるんだったら、高校に行かせられないかも、と考える保護者も出てくるでしょう」と指摘しています。
全ての子供たちが豊かに学ぶことのできる健全な社会となりますことを心から祈ります。
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