【香川県・高松地裁】製薬会社の社員が勤務先の不正を国(厚労省)に公益通報した後、「仕事を干された」として会社に損害賠償を求める裁判を起こしていたことが判明

【香川県・高松地裁】製薬会社の社員が勤務先の不正を国(厚労省)に公益通報した後、「仕事を干された」として会社に損害賠償を求める裁判を起こしていたことが判明

外資系の製薬会社に勤める社員が、勤務先の不正を厚労省に公益通報した後、「仕事を干された」として会社を相手取り、損害賠償を求める裁判を起こしていることが分かりました。

原告の小林まる(仮名)さんは、東京に本社を置く外資系製薬会社で勤務しており、2017年に会社が難病の治療薬について、不適切な販売促進活動を行っているとして厚労省に公益通報を行いました。

これを受け、会社は厚労省から「薬剤の使用上の注意」の改訂などを指示されましたが、その後、小林さんをほとんど仕事がない1人だけの部署に配置したとのことです。

小林さんは2024年1月、「仕事干しはパワーハラスメントに該当する」などとして会社に対し、精神的損害300万円の賠償を求める訴えを起こし、「例えばエクセルに数字を打ち込む。私の経験や知識を生かせるような仕事ではなくて単純作業がほんの少しだけ。本当につらいです」「専門職として採用されたのに仕事がない状態で、自尊心が傷つけられている」と訴えています。

一方、被告の製薬会社側は、全面的に争う姿勢を示しており、小林さんの業務量が少ない理由として、「上司の指示に反抗的な態度を示していることや母親の介護への配慮を求めていること」などを挙げています。  

これに対し、小林さん側は「上司の指示に従い、前向きに業務に取り組んでいる。介護の事情に過度な配慮は求めていない」などと反論しています。

裁判はこれまで非公開で書面のやりとりが行われてきましたが、10月3日、高松地裁で初めて公開の法廷が開かれ、口頭弁論と本人尋問が行われました。

弁論はこの日で終結し、今後、双方が最終準備書面を提出した上で、来年3月13日に判決が言い渡される予定です。

小林さんは「社員に仕事を与えるかどうかというのは会社の裁量という考え方と、仕事干しというのはパワハラだという考えと、2つの考えがありますので。公益通報した人が仕事を干されてキャリアを失うことを認めていいのかどうかというのは裁判官には考えていただいて、適切な判決を出していただきたいと思います」と話しています。

また、小林さんはXでも自身の主張を発信しており、「管理職から一般職に降級され、5年以上も仕事を干され続けています。5月1日付けで、また配置転換(第3配転)されました。未だに新しい業務のちゃんとした説明がありません(仕事もありません)」としています。

本来、適切な手続きで内部告発を行った人は「公益通報者保護法」に基づき保護される立場にあり、会社が告発を理由に専門職から外し、孤立させるような措置を取っている場合は、報復的な人事措置(リタリエーション)と見なされる可能性があります。

今回の裁判は、公益通報者保護法の理念がどこまで現実に機能しているのかを問う、社会全体にとって重要な試金石となります。

常に公正な裁判が行われ、理不尽のない社会となりますことを心から祈ります。

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