【トランプ大統領】国際刑事裁判所(ICC)の職員への制裁を可能にする大統領令に署名 ICCの赤根智子所長は「深い遺憾の意を表明する」と非難

【トランプ大統領】国際刑事裁判所(ICC)の職員への制裁を可能にする大統領令に署名 ICCの赤根智子所長は「深い遺憾の意を表明する」と非難

トランプ大統領は、ICC(国際刑事裁判所)について「アメリカと同盟国のイスラエルを標的にした非合法で根拠のない行動」をとってきたとし、同裁判所への制裁を可能にする大統領令に署名しました。

大統領令では、「ICCはガザでの戦闘を巡り、正当な根拠もなく、イスラエルのネタニヤフ首相や、ガラント前国防相らを標的とした逮捕状を出し、権限を乱用している」と非難しました。

さらに「アメリカとイスラエルはICCに加盟しておらず、ICCは管轄権もない。この悪質な行為はアメリカやイスラエルを含む同盟国の外交政策を損なうことにつながりかねない」と指摘しました。

また、ICCへの制裁として「捜査に関わった責任者の資産の凍結やアメリカへの入国を禁止する措置をとる」としています。

これに対し、ICCのトップを務める赤根智子所長は声明を発表し、「大統領令はICCの独立性と公平性を損なうもので、深い遺憾の意を表明する。裁判所の機能を政治化しようとするいかなる試みも断固として拒否する」と非難しました。

続けて、「ICCは武力紛争や人権に関する法律など世界中で受け入れられている国際法に基づいた法執行を行い、国際社会の利益と一致した機能を果たしている。世界大戦やホロコーストなどで民間人が受けてきた計り知れない苦しみの最も重要な遺産だ」と訴えました。

赤根智子所長

現在、トランプ大統領は「アメリカ第一主義」を掲げ、特に緊密な関係にあるイスラエルを含め、自国の利益を徹底的に守ろうとしており、今回の制裁もその一環と見られています。

◯【米トランプ大統領】 反ユダヤ主義の政策を強化する大統領令に署名『反ユダヤ主義の留学生は国外追放』など

ICCは「戦争犯罪や人道に対する罪を裁き、国際社会の正義を守る」という崇高な目的を掲げているものの、強制力を持たず、実際には戦争犯罪を裁くどころか、「逮捕状を発行しました」と声明を出すだけで終わることが多いと指摘されています。

ICCの活動は加盟国の協力を前提としていますが、ロシア、中国、アメリカなどの主要国が未加盟のため、実質的に機能不全に陥っていると指摘されています。

2020年、ICCはアフガニスタン戦争に関連してアメリカの捜査を試みましたが、トランプ政権がICC関係者に制裁を課し、圧力をかけたため、中断されることとなりました。

同年、亡命ウイグル人らが中国政府によるジェノサイドの実態を操作するようICCに求めた際にも、ICCは「中国は加盟国ではないため捜査できない」「人権に対する罪に当たらない」との理由で捜査要請を退けました。

ICCは2023年、ロシアのプーチン大統領に、ウクライナでの戦争犯罪の疑いで逮捕状を出しましたが、プーチン本人は裁判所の決定を意に介さず、現在も国内外で活動を続けています。

◯【ロシア】ウクライナのゼレンスキー大統領を刑法違反で国際指名手配

このように、ICCの活動はほとんどが形だけに終わり、むしろ他国からの反発を招いていますが、ICCへの最大の資金拠出国は日本であり、2023年の1年間で分担金のうち約15.4%に当たる37億5000万円を支出しています。

今後、トランプ政権の影響力が強まるにつれ、世界情勢も大きく変化し、ICCの存在意義を問う声が一層高まる可能性があります。

真に有益な機関だけが存続し、より公平で平和な国際社会が実現しますことを心から祈ります。

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