国境を越えたサイバー犯罪を取り締まる『新国際条約草案』、国連で合意 人権団体などが「国家による監視や弾圧につながる」と懸念を表明

国境を越えたサイバー犯罪を取り締まる『新国際条約草案』、国連で合意 人権団体などが「国家による監視や弾圧につながる」と懸念を表明

国連は8日、サイバー犯罪の取り締まりを強化し、捜査や司法手続きでの国際協力促進を目的とした新条約を採択しました。

国連のサイバー犯罪条約は、ネット詐欺や資金洗浄、児童ポルノの拡散など、インターネットで国境を越えて行われる犯罪の取り締まりを強化するため、かねてから議論が進められてきたものです。

条約は「サイバー犯罪に関わる者たちの安住の地をなくす」ことを掲げ、締約国に取り締まりに向けた対策の強化を義務づけており、来月の国連総会で正式に採択される見通しです。

もともと、この条約はロシアによって提案されたもので、このほかにも中国、ミャンマー、カンボジア、イラン、シリア、ベラルーシ、ニカラグア、そしてベネズエラが共同提案国として加わりました。

一方、日本と欧米諸国は「ロシアと中国、両国に連なる新興国、途上国は非民主主義国家であり、条約の締結によってインターネット利用やソーシャルメディア上の表現の自由を制限し、ネットを封殺する目的があるのではないか」と懸念を示していました。

また複数の人権団体からは、この条約について「ロシアの用意した条約草案には政治的、思想的、社会的、人種的、民族的、宗教的な憎悪を動機としてつくられたオンラインコンテンツの共有なども含まれており、それらはいずれも言論弾圧、そしてジャーナリストや活動家の拘束に用いられる可能性がある」「ありとあらゆる行為を“犯罪とテクノロジー”の名のもとに犯罪として取り締まろうという意図がある」と批判の声が上がっています。

◯「サイバー犯罪」の曖昧な定義が、過剰な取締りや権威主義的国家による弾圧に利用されている

◯対サイバー犯罪で国際条約制定へ、国連総会で決議 言論封殺の懸念も

◯東京大学公共政策大学院 研究論文 Master Thesis Graduate School of Public Policy The University of Tokyo

その後、日本や欧米諸国が人権保護や捜査手続きに関する規定の明確化を求め、おおむね最終案に反映されたとのことですが、人権団体などは「国家による監視や弾圧につながる」との懸念をさらに強めているとのことです。

言論弾圧を目論む悪人たちが全て厳正に裁かれ、真実の情報が満ち溢れる世界となりますことを心から祈ります。

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