無価値となったクレディ・スイスの債権をめぐり、5人の投資家が『SBI証券』『楽天証券』『マネックス証券』を提訴 リスクに関する事前説明なく、1億5000万円の損害賠償を求める

無価値となったクレディ・スイスの債権をめぐり、5人の投資家が『SBI証券』『楽天証券』『マネックス証券』を提訴 リスクに関する事前説明なく、1億5000万円の損害賠償を求める

「クレディ・スイス」の債券が無価値となったことを受け、国内の5人の投資家が同債券を扱っていた「SBI証券」「楽天証券」「マネックス証券」の3社を相手取り、購入契約の取り消しや損害賠償を求める訴訟を起こしました。

今年3月、経営不安にさらされていた「クレディ・スイス」は、スイスの金融当局の関与のもと、同国に本拠地を構える金融大手「UBS」が救済買収することで合意しました。

買収を取り仕切ったスイス当局は、「クレディ・スイス」が発行していた約160億スイスフラン、日本円にして約2.2兆円もの「AT1債」の価値をゼロにすると異例の対応を表明し、大きな波紋を呼びました。

○AT1債とは クレディ・スイスで注目、3メガ3.6兆円発行

「AT1債」とは

「Additional Tier1債券」の略称で、株式と債券の中間の性質を持ったハイブリッド証券のひとつです。
金融機関が破綻した際にお金が戻ってくる弁済順位が一般の債券などより低い半面、利回りが高く設定されています。
AT1債を発行する金融機関の自己資本比率が一定の水準を下回った場合や監督当局の決定などにより、強制的に元本が削減されたり株式に転換されたりする特性があります。

=経営危機に陥った際、預金者に影響が出ないよう、この社債を買った投資家が損失を吸収する仕組みとなっています。

「クレディ・スイス」のAT1債は、株式など損失を吸収する資本が一定の水準を下回った場合や、スイス当局が「銀行が破綻するおそれがある」とみなし、例外的な政府支援を行った場合に無価値となる仕組みになっていました。

○クレディ・スイス「AT1債」無価値の衝撃【経済コラム】

しかし、原告代理人の山崎大樹弁護士によると、訴訟を起こした5人は3社を通じて「クレディ・スイス」のAT1債を購入した際、同債のリスクなど重要な事前説明を受けていなかったとのことで、総額1億5000万円の損害賠償を求めています。

「SBI証券」は、金融商品仲介業者(IFA)を介して投資家らに「クレディ・スイス」のAT1債の説明や勧誘を行っていましたが、同債権を購入した投資家らは「SBI証券から事実に反したり、重要な事項を欠いたりした内容の書類が提供されたため、SBIには原状回復義務がある」などと主張しています。

また、「楽天証券」は、契約書類にAT1債のリスクについて「普通株式等資本比率が 7.00%を下回った場合、元本削減」と記載していたものの、無価値となる可能性に言及していなかったとのことで、投資家らは「重要事項の説明を欠いている」と指摘しています。

提訴した5人のうち2人は「SBI証券」に対し計約4270万円、ほかの2人は楽天証券に対し計約5260万円、1人はマネックス証券に約5340万円の賠償を求めています。

「クレディ・スイス」のAT1債は、日本国内で約1400億円が販売され、別の投資家も三菱UFJモルガン・スタンレー証券などに対して訴訟を起こしているとのことです。

岸田内閣は2023年を「資産所得倍増元年」と位置付け、国民に積極的な投資を呼びかけていますが、「クレディ・スイス」の一件により、投資への警戒感が高まり、販売を担った証券会社の責任を追及する動きも広がっています。

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甘い誘い文句で人々をそそのかし、暴利を貪る悪人たちが全て厳正に裁かれますことを心から祈ります。

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