
山梨県の温泉旅館が、中国をはじめとする外国資本に相次いで買収されていることが分かりました。

山梨県笛吹市の「富士山石和温泉郷」は県内最大の温泉地で、東京都心から特急電車でおよそ1時間半の場所にあり、肌をなめらかに整える「美肌の湯」としても知られています。
笛吹市の担当者によると、地元の旅館組合に加盟する施設だけでも、外国企業がオーナーとなっている旅館は石和温泉全体の約4分の1、10軒ほどに上るとのことです。
中でも石和温泉の旅館「楽気ハウス甲斐路」は2023年に中国系企業の所有となり、コロナ禍後のインバウンド需要を取り込んだことで、バブル崩壊やコロナ禍での苦境を抜け出したそうです。
ホテル旅館経営研究所の辻勇自所長は、石和温泉の旅館が売りに出された場合、そのおよそ9割は外国資本に買われていると指摘し、「(購入価格は)日本人の2倍は出しますよね。富士山が近い(というのが)1番人気がありますので。(さらに東京から)京都に行くちょうど中間、寄り道の地域になるんです。それで購入しても十分利回りが出る。売る側は本当は日本人がいいと思ってる方も多いが、(売れずに)廃墟になるよりはいいので」と話しています。
また、中国のSNSには「富士山の麓にある旅館を譲渡します。投資のチャンス」といった石和温泉に関する投稿も見られ、今後も外国資本による旅館の買収が増える可能性があるとのことです。
しかし近隣の温泉街では、外国人観光客の姿はほとんど見られず、地元の商店からは「海外の人は全然来ない。来るのは近所の人や日本の観光客ばかりです」という声もあり、温泉街全体としてはインバウンドの恩恵がほとんど感じられない現状となっています。
◯中国富裕層が担い手に、斜陽の国内温泉旅館-外国人所有が4割へ
山梨県の温泉街に限らず、国内の宿泊施設では近年、高齢化した旅館経営者からの海外への売却相談や、中国系資本からの購入希望が急増しており、2023年の時点で「今後10年間で温泉旅館の外国人所有率は4割程度に達する」との見通しが示されています。
地域社会に根ざした形で産業が発展し、誰もが安心して豊かに暮らせる社会となりますことを心から祈ります。
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