次世代電池の開発を手掛けるスタートアップ「APB」が、中国ファーウェイと提携した企業に事実上乗っ取られたことが判明しました。
中国大手ファーウェイが狙う、日本人の天才エンジニア(元日産のレジェンド技術者)の堀江英明氏が、開発したEV用の世界初の新しい次世代電池=全樹脂電池。今年9月の報道。APB社創業者で全樹脂電池の開発者の堀江社長は、中国ファーウェイと提携したい大島副社長などにより、今年6月の取締役会で突如社長… https://t.co/rQbebVTt66 pic.twitter.com/53XqvqWlRQ
— Cat すず (@Catsuzuchan_01) December 13, 2024
「APB」は福井市に本社と工場を構え、全固体電池を超える技術として注目される「全樹脂電池」の開発を進めています。
創業者の堀江英明は、元日産自動車の技術者であり、同社初のEV車「リーフ」の車載電池システムを開発したことで知られています。
堀江英明氏は、日産を支えた「10人のレジェンド」の一人とされますが、経営の混乱を受けて2018年に退社、次世代電池の開発を目指して「APB」を立ち上げました。
量産を目指す堀江英明は、「三洋化成工業」を素材の研究パートナーに選び、同社からの出資を受けるとともに、JFEケミカル、横河電機、大林組、長瀬産業、豊田通商を含む13社から合計88億円を調達しました。
将来性があり、優良企業からの出資を受けていたことなどから、SPAC(特別買収目的会社)を利用した上場計画も浮上し、企業価値は2600億円から4300億円と評価されていました。
ところが、「三洋化成工業」の安藤孝夫社長が失脚し、2021年に樋口章憲が社長の座に就いたとたん、それまでの態度を一変し、「堀江氏は経営者の資質に欠ける」と主張、堀江英明の排除を図ったとされています。
◯【独自】日本の最先端電池技術が中国に流出の危機…!?「経済安全保障」のウラでひそかに広がるヤバすぎる落とし穴
これを受け、堀江英明が地位保全を求めて訴訟を起こし、二度にわたる裁判で勝訴しましたが、三洋化成の樋口社長はその報復として、自社が保有する「APB」株の大半を福岡市に本社を置く「TRIPLE-1(トリプルワン)」という会社に格安で売却しました。
堀江英明はトリプルワンの大島麿礼副社長と面会し、「自分たちはサウジアラビアの皇族にコネクションがある実業家のオマール・カンディール氏や、国際協力銀行会長の前田匡史氏と繋がりがあるので、100億円くらいはすぐに調達できる」などと言われたため、すっかり信用してしまったそうですが、このトリプルワンこそが後に「APB」を破綻へと追い込む引き金となりました。
トリプルワンはAPB株の36%を取得し、2023年3月に「福井の工場を視察させてほしい」とAPBに申し入れを行いましたが、その際、ファーウェイ日本の副社長と本部長、深圳本社から来たエンジニア2人を連れて視察に訪れたそうです。
これに驚いた堀江英明が、トリプルワンの実態を調査したところ、大島麿礼副社長らが頻繁に深圳を訪れ、ファーウェイなどの中国企業と蜜月関係を築いていたことが判明したとのことです。
トリプルワンはAPBに対し、中国で全固体電池を開発している「アンパワー」という会社との協業を勧めてきたとのことですが、堀江英明は、APBが川崎重工業と次世代潜水艦向け蓄電池の開発を進めていることもあり、安全保障上重大な問題が発生する恐れがあるとして、この提案を拒否しました。
今年6月末、東京都内のシェアオフィスで行われた取締役会でも、堀江英明が決算報告を終えて閉会を宣言した直後、トリプルワンの大島麿礼副社長が「まだ終わっていない!」と発言し、オンライン会議で参加していた取締役も含めて取締役会を再開し、議長の交代を提起してきたそうです。
堀江英明は同席していた弁護士とともに「取締役会は終わっている」と主張しつづけましたが、最終的に社長を解職され、その後、大島麿礼が株主総会を経てAPBの代表に就任しました。
堀江英明は、正式な取締役会および株主総会を経ていないとして、取締役3人を相手取り、福井地裁に役員としての地位を確認する仮処分の申し立てを行い、現在は最高裁で審議中となっています。
こうした状況の中で、APBは経営破綻の危機に瀕しており、もう既に同社に帰属する最先端技術が中国企業に流出している可能性が懸念されています。
堀江英明はこの状況について、「トリプルワンは半導体技術などに出資をしている会社だが、技術が分かる人はいないようだ。43億円の資金をAPBに入れるとの約束も事前にしていたが、一向に何も実行されることもない。実態が不明な会社に株を引き渡してしまったことは、私の責任だ」「今回のように技術の価値が分からない人の手に渡るような事態は想定していなかった。わなにかかったと言われても仕方ない」と話していますが、中国企業やトリプルワンが次世代電池の価値を十分に理解していたからこそ、APBに戦略的に関与し、技術を掌握したものと考えられます。
全てのスパイ行為の実態が解明され、いかなる業界においても健全な経済活動が行われますことを心から祈ります。
◯【乗っ取り】破産手続き中の船井電機、中国家電大手『スカイワース』とテレビ事業売却の交渉を進めていることが判明
◯【西武HD】赤坂プリンスホテル跡地の『東京ガーデンテラス紀尾井町』を約4000億円で米投資会社に売却 実質乗っ取られた堤一族
◯【破壊工作か?】ドラッグストア業界1位の『ウエルシア』、不正アクセスで3万9805人分の顧客情報が漏えい 今年4月に社長が中国人との不倫をスクープされ辞任したばかり
コメントを書く